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一家全滅2009/04/25

息子が保育園に通いだし、先週から二度目の風邪(+胃腸炎)をもらってくる。それが家庭内感染へアウトブレイク。

まず妻の母へ、そして妻へ、そして土曜日には私に。

土曜日の朝、なんとなく調子が悪いと思いつつ、今年度から参加することになった静岡県の舞台芸術センターが主催する「有度サロン」の第一回に参加すべく、静岡へ。
特に今回の講師は、長期デフレから世界金融危機を、ブローデルやウォーラーステイン、柄谷行人や大澤真幸まてで駆使して分析する、三菱東京UFJ証券のチーフアナリスト水野和夫さん。私としては出ないわけにはいかない回。

しかし、静岡へ向かう車中から、関節が痛み、吐き気ももよおしはじめる。あいにくの冷たく激しい風雨とあいまって、いきなりフィジカルなピンチに。

着くとまず観劇(なにせ舞台芸術センターですから。同センターの初代芸術監督の鈴木忠志さんは、公共の議論の触媒としての劇場という哲学をお持ちなので、観劇とレクチャーのセットは、その意味ではごく自然なことなのですが)。エウリピデスの『バッコスの信女』を原作にした鈴木忠志さん演出の『酒神ディオニュソス』を見る。

二つの相容れない信念体系である宗教と政治。だが、ある場面で、宗教がきわめて政治的に、政治がきわめて宗教的にふるまうさま。そして、両者の対抗のエスカレーションが、最悪の苦しみを、いずれの信念体系にも同一化していない者にもたらす悲惨。

初演は30年以上前というこの芝居が、あまりにも現代的で驚く。

観劇中はなんとかもった体力が、芝居が終わったとたん切れ、こらえきれずトイレに駆け込み嘔吐。その後の夕食会はキャンセルして、自室で休ませてもらう。一時間半ほど横になり、すこしラクになったので、目当ての水野さんのレクチャーを聴く。現在が長期の16世紀の末期と似ているという認識、それを抜けた後になんらかの定常状態の構築に向かわざるをえないという診断で彼我の一致を確認する。細かいところの考えの違いをつきあわせたい衝動に駆られるが、体力がそれをゆるさず、レクチャー後の懇親会も失礼して、その夜はひたすらやすむことに。

(つづく)