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インフルエンザによる休講の最終日。
静かなキャンパスで、一日、週末の学会の準備をする。

私の役割は大セッションのコメンテータ。

大セッションのタイトルを勝手に和訳すると、

「世界帝国と超地域的ネットワーク」

報告は四つ。同じくタイトルを勝手に和訳すると、

・「『中華帝国』の核：明代中国における首都地域の形成」

・「1570年システム：後期明代における朝貢貿易システムの変容」

・「植民地化か、ローカルなネットワークの再編か？：18世紀西ジャワ・プリアンガン地方における内陸輸送とオランダの植民地的権力」

・「1841年のフランスによるノシ・ベの保護領化とその後」

ちなみにノシ・ベは、マダガスカルの西に浮かぶ小島であるらしい。

この四つの報告を、大セッションのタイトルの範囲内で、ひとつのパースペクティヴに収めてオチをつけるコメントを申し述べるのが私の仕事。
世界システム論という看板を掲げていると、こういう「あとはあなたの大風呂敷で包んでおいてね」的な仕事が定期的にやってくる。

が、それにしても今回は、時代も地域もバラバラで、切り口も多様なので、コメントの構成に見通しが立つまで、かなり苦しんだ。

一日研究室で呻吟して、なんとかパワーポイントのファイルだけはつくる。もともと学会のためにわざわざ読み上げ原稿など作らないタチだが、今回は、当日のアドリヴも結構テンション高めでいかねば。

というわけで、すっかり日も暮れたし、そろそろ研究室を出て帰ろう。