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近況2009/05/04

どたばたと移動が多く、まる一週間エントリなし。かいつまんで備忘。

以前、『帝国論』を編んだときに寄稿してもらった滝口良君とひさしぶりに会う。モンゴル留学をおえた彼は現在学振の特別研究員(DC)。
最近の人類学の動向など、いろいろ教わる。

水曜日、ワインがらみの知人の結婚式があり、出席。良い式だった。

某政党紙から書評の依頼があり、エイミー・カプランの『帝国というアナーキー』を読む。

週末は、前週にひきつづき、静岡県舞台芸術センターへ。文芸評論家の高澤秀次さんの講演。柄谷行人さんもお見え、ほかに討論者として斎藤環さん、ゲストには磯崎新さんも。一日目の夜は、編集者の山村さん、前週お会いした水野和夫さん、柄谷さんご夫妻、高澤さんと私の六人で夜中近くまで、ビールを飲みながら話をしていました。たいへん楽しかったです。

学部ゼミの四年生に卒論に向けたマンスリー・アジェンダの五月分を指示。先月中に送りたかったのだが、少しずれこんでしまう。すでに就職活動を終えた諸君はもとより、まだがんばっている諸君も、つねに頭のどこかに卒論のことを置いておいてほしい。

明日は息子の初節句。

メモ2009/05/06

来学期以降の授業のためのテキスト候補リストの準備として

いわゆる社会のコンテナ理論に対する批判の諸相

Billig, M. (1995) Banal Nationalism, Sage
エリアス『文明化の過程』
Calhoun, C. (1997) Nationalism, Open University Press
ウォーラーステイン『脱社会科学』
ヘルド『デモクラシーと世界秩序』
マン『ソーシャルパワー』
※「社会という概念自体が問題だ」といきなり切り出すのはたいへんだが、社会=国民国家という暗黙の前提が通用しなくなったという導入なら学生もついてくる。

新しい中世主義について
Philip Cerny, “Neomedievalism, Civil War, and the New Security
Dilemma: Globalization as Durable Disorder,” Civil Wars, Vol. 1,
No. 1, Spring 1998, pp. 36-64.
 ※このCivil Warsの創刊号はほかに
Mark Duffield, “Post-Modern Conflict: Warlords, Post-Adjustment States and Private Protection,” Civil Wars, Vol. 1, No.1, Spring 1998, pp. 65-102.なども収められていて重要。
中世主義に対する批判として
Hirst and Thompson, Globalization in Question, Polity, 1996.
※「新しい中世」の議論は、60sの思想的現実が、90s以降に技術的現実となって、ポストモダン理論がようやく国際関係論の水準でも消化された(というか、わざわざ小難しい概念を振り回さなくても、あるていどオペレーショナルに扱えるようになった)ことのシンプトムとして出てきたということですな。

社会の不可能性からアクターネットワークへの接続

ルフェーブル『空間の生産』
Rose, N. (1996) "Refiguring the Territory of Government" Economy and Society, 25: 327-56
ラクラウ/ムフ『ポストマルクス主義と政治』
Berrett, M. (1991) The Politics of Truth, Polity
ルーマンの社会システム1995年の英訳版
Archer, M. (1995) Realist Social Theory, Cambridge University Press
Mol and Law (1994) "Regions, Networks and Fluid" Social Studies of Science 24:641-671
ラトゥール『虚構の近代』
Murdoch (1995) "Actor-Networks and the Evolution of Economic Forms" Environment and Planning A 27:731-57
Law (1994) Organizing Modernity, Blackwell
Law and Hassard [eds.] (1999) Actor Network Theory and After, Blackwell

※ネットワーク社会論の古典と共鳴するか
Castells (1996→2000) The Rise of Network Society, Blackwell
Amin and Thrift (1992) "Neo-Marshallian Nodes in Global Networks" Int'l J. of Urban abd Regional REsearch
Cooke and Morgan (1993) "The Network Paradigm" Environment and Planning D. Society and Space, 11:543-64
Dale (1997) "Ideology and Atmosphere in the Informational Society", Theory, Culture and Society, 13:27-52

※「ルフェーブルから(ラクラウ/ムフを迂回して?)ラトゥールへ」と読めると面白いかなあ。

フーコーと視覚中心主義批判

Stacey, J. (1997) Teratologies: a Cultural Theory of Cancer, Routledgr
Jenks, C. (ed) Visual Culture, Routledge, 1995
Gregory D. (1994) Geographical Imaginations, Blackwell
Pratt, M. (1992) Imperial Eyes, Routledge
ローティ『哲学と自然の鏡』

※ソーカル以降、やられっぱなしというわけにもいかないので。こういう議論も扱いたい

移動の社会学の先駆的作品

メルッチ『現在に生きるノマド』
カプラン『移動の時代』
Braidotti (1994) Nomadic Subjects, Co;umbia University Press
牧本・マナーズ『デジタル遊牧民』
Bauman (1993) Postmodern Ethics, Routledge
クリフォード『ルーツ』
 ※『文化の窮状』、マーカス共編『文化を書く』も
ギルロイ『ブラック・アトランティック』
MacCannell (1992) Empty Meeting Grounds, Routledge
Auge (1995) Non-Places, Verso
※移動でくくるとこれまでバラバラに読んできたものが星座を描きそう。

グローバリゼーションと空間認識
Ingold (1993) "Globes and Spheres" in K. Milton, Environmentalism, Routledge
Cosgrove (1994) "Contested Global Visions" Annals of the Association of American Geographers, 84: 270-94
※意外と見つからないな。もうちょっとさがさないと…

連休明け2009/05/07

朝イチの新幹線で京都へ。

車中、『帝国というアナーキー』の書評を書く。700字。

大学についてさっそく会議。

午後は研究室で授業の準備。

昨夜から消化器系が不調で食欲がない。睡眠不足もあり、すこし早じまいすることに。

朝書いた書評の推敲をしながら帰宅。途中で入稿。

夜はメールの返事、再来週に引き受けたシンポウムのコメントの仕込みなど。

ロールズ2009/05/08

泥縄的な必要があり、いまさらロールズの『万民の法』を読む。

とりあえず前半をざっと読んだメモ。

普遍的社会契約の現実的ユートピア構想という点で、あらゆる社会契約(→超越性の立ち上げ)を拒否するネグリ/ハートの対極。

(ハーバーマス的な)熟議民主主義+デモクラティック・ピース論

リンクレーターによる英国学派の読み換え(カントをグロティアン最左派に位置づけて規範理論として評価する)の議論とも似ている。

国際関係における「厚い無知のヴェール」の条件に関する議論は面白い。

リベラルな民主主義国家
カザニスタン(良識ある諮問階層制国家)
***************
政治的リベラリズムの壁
***************
無法国家
破たん国家
仁愛的絶対主義

カザニスタン的国家は政治的リベラリズムの規範の内部に包摂できる

※グレイ(『自由主義の二つの顔』→『グローバリズムという妄想』)のようなリベラリズム批判に対してはどうこたえるのか。

あたふた2009/05/15

また気がつけば、一週間も更新が滞る。

簡単に備忘。

月曜日は朝イチで新幹線。車中は授業の準備。
二時間目は、輪読。アーリ『社会を越える社会学』の第三章。

三時間目は、大学院Socio-Cultural Studies。サッセンのグローバル・シティからの抜粋をテキストに。

四時間目は、博士課程の院生と面談。

五時間目は、二回生向けオムニバス・ゼミ。今回は私がしゃべる番。来週以降、リッツァのGlobalization og Nothingを読むための前提として、かいつまんで導入。

火曜日。午前中にとある編集者の方と、電話で仕事の打ち合わせ。昼休みに自分のゼミのOGと会食。同じ進路を目指している現ゼミ生のためのアドバイスなどを取材。
午後は会議。小さい会議はプラクティカルだが、大きい会議はイデオロギー的になる法則。

水曜日。学部ゼミと院ゼミ。学部ゼミ、快調。院ゼミ、(毎回40-60分程度延長を前提でやっているにもかかわらず)時間が押し気味。

木曜日。午前に会議。ない知恵をしぼれという仕事を仰せつかる。
新幹線で東京へ。息子がまた発熱(突発性発疹か?)。あまり動じなくはなったが、心配なことにかわりない。

来週の仕事がひとつ海外からのメインスピーカーの事情でキャンセルに。少しラクになったが、この週末中に、某口述筆記原稿の校正。某教科書寄稿原稿の企画書改訂。月末の国際学会でのコメントの準備まではマスト。当然ながら、来週の授業の準備、ずっと抱えている書き下ろしと翻訳も。そろそろat次号の連載も書き始めないと…。