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備忘2009/03/08

おとといのエントリーを読んでいて、本名先生のコメントの要約が、あまりに簡素すぎてあとで自分でも思い出せそうにないので、もう少し。せっかくの重要なアイデアなので。

本名先生は、「人間の安全保障」概念を分析的に有効にするためには、「セキュリティ化」の分類学が必要だと指摘された。

「セキュリティ化」とは、類比的に言うなら、医療人類学で言う「病理化」の概念(たとえば、ADHDという「病気」であるというラベルができることで、単に「まじめに勉強しない」子供ではなく、特定の専門的な加療が必要な子供へと転換されるような過程。それによって一方で「通常」の規範の押し付けを一定程度免除されるが、他方である枠内に隔離される面もある)に近い。特定の社会的/文化的/生物学的な表徴をカテゴリー的にセキュリティに対する脅威と結びつける過程が「セキュリティ化」である。

本名先生は、さしあたりの類型として、mis-securitization, over-securitization, hyper-securitization, under-securitization (or lack of securitization)を挙げておられた。

類型化の基準をどう定式化できるかが、「人間の安全保障」アプローチの実際的な有効性を左右するだろう。