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アリギとネグリ2009/04/14

午前中は、たまっている雑用をかたづける。

午後は学生の面談二件。院生ひとり、学部生ひとり。

その後授業のテキストの準備などをして、少し早めに研究室を出る。

アリギとネグリ/ハートの対立点を整理しておきたくて、ふたりの論争が収められているという触れ込みの『新世界秩序批判 : 帝国とマルチチュードをめぐる対話』を、おそまきながら読むが、訳が悪くて閉口。底本はドイツ語のようだが、寄稿者のすべてがドイツ語で書いているわけではないはず。そしてドイツ語からの重訳だと思われる章は特に苦しい。
肝心の論争も、互いに批判しあうポイントが直接には噛み合っておらず、互いに自分の主張を繰り返し、相手の議論の弱点を指摘しあうだけで(それだけなら、それぞれの著作を読めばわかる話なので)、あまり考えが整理されなかった。
結局、ネグリ/ハートは、周期や構造といった「超越的」な概念を分析に持ち込む限り、市場的権力の外部には出られないぞと脅すだけだし、逆にアリギは、いくらモザイク化したといったって、現に南北問題はなくなってないだろうというだけだ。ある程度までは、両者の議論のすれ違いはタイムスパンの問題に解消される。ネグリ/ハートは超長期的に想定される平滑空間の観点から、アリギは世紀単位の長期的観点から、それぞれ眼前の変化の延長線上にある帰結(の幅)を論じている。

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